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新聞で見る阿波おどり
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徳島新聞 1998年6月19日掲載
執筆者 石川文彦
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キャンペーン
社説で反対派支持
普通新聞は明治十六(一八八三)年三月十二日、創刊二千号を迎え、雑報に簡単な見出しが付くようになる。この夏、同紙は反阿波踊り大キャンペーンを展開する。
七月二十三日付では、踊りが許可されたことを報じた後「社説欄内ではチト大袈裟(おおげさ)すぎるから、雑録欄あたりで大いに論ずるところあるべきなり」として、翌日から連日のように踊り排撃記事を掲載している。
■馬鹿の骨髄■
「胡亂悶(うらぼん)の胡亂悶踊り」と題した二十四日付雑録は、七十八行(一行二十四字)の大作だ。
流しの踊り子。鳥追い笠(かさ)、花笠姿で流していく女性たち(「なつかしの徳島風物」=1970年、株式会社出版刊=から)
「近来、世上は不景気にして殊に金融は悪しけれは盆踊りをおッ始めて景気を持ち直し、金融を善(よ)くせんとすトハ、馬鹿(ばか)連が馬鹿考への骨髄なるべし」と一方的に決め付けた後、盆踊りの後には「必らずやその祟(たた)りは忽(たちま)ち来りて、借金の山、負債の海、一時に身辺に逼迫(ひっぱく)し来りて、首も回らず手足も動かず唯た胡亂胡亂と悶悩するを見るへきのみ。これ記者は盂蘭(うら)盆踊と書せずして胡亂悶踊りと筆したるの第一なり」と踊りに益がないと断言。続いて踊り期間中の風紀の乱れを指摘し「貧乏人ヲシテ悶絶(もんぜつ)セシメ、金持ヲシテ迷惑セシメ、お負ケニ風俗ヲ壊亂セシメ、道徳ヲ滅却セシメ、凡(およ)ソセシメルトシテ善クセシメルハナク、何モ個(か)モキット悪クセシメルノミナリ」と言いたい放題だ。
三十日付からは「鳴呼(ああ)困ったものじゃ」のタイトルで阿波踊りに不満を持つ人々の嘆きを取材して連載。あるしもたや造りの家では、娘を盆踊りに出したいが、三味線がもう一つだから学校を休ませてけいこさせる必要があるうえに、着物もあつらえねばならないと愚痴をこぼす。またある呉服屋では、富田町や遊廓(かく)から踊り衣装を買いにきても、掛け売りになった揚げ句、七割か八割の入金で、あとは染みの入ったのを引き取るのがおちとして、それぞれ最後は「鳴呼困ったものじゃ」でまとめている。
■教育に問題■
八月一日には「盆踊りは祖先の霊を慰めることから発し、阿波の風土が生んだ風習であり、むしろ人民の品行を矯正する一端だ」という踊り賛成の投書も載る。しかし十五日付では投書を分析し、踊り賛成はこの一通だけで、あとは「安眠を妨害される」「往来の自由を妨害される」「踊り当日に前後の日を加え、五日間は仕事にならず、冗費も多くかかる」などを含め、すべて踊り反対一色だとしている。
同月五日名東郡役所で開かれた共立学事会が、盆踊りは教育上問題があるとして「踊り許可取り消しを其筋に具申」することを決議すると「聞くも喜ばしき限りなり」と、大きく報道。八日からは盆踊り反対について、社説欄で取り上げるはしゃぎっぷりだ。
こうした報道に対し普通新聞不買運動が起きるが、動じるふうはなく「勝手に召され」と言い切っている。 |
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